王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「側近……? 殿下とは……」
「こちらのお方は、我がバークレー国次期国王、王太子ウィリアム殿下であらせられる。
もう一度言います。その手をお離し下さい、伯爵」
ミケルがウィルの身分を告げるなり、目を見開いた両親とエレン。
父はウィルを掴んでいた手を解き、震えながら後ずさった。
驚くのも無理はないとわかっていたのだろう、ウィルは怯えさせないよういつもの優しい声音で続けた。
「王家の古い慣習で、成人までは身分を明かさず、騎士としての訓練を受けるようにと、厳しく躾られておりました」
姿勢を正し、真っ直ぐな瞳で真摯に語るウィル。
マリー自身にも多少なりとも非はあるはずなのに、全て彼の都合だと責任を負う姿勢に愛おしさは膨らみを増すばかりだ。
「四年前、初めてマリーアンジュ嬢に出逢ったときから、私の心は彼女に心酔しておりました。
今も、これから先も変わることなく、マリーアンジュを愛し続けます。
父上様、マリーアンジュを我が城に王太子妃として迎え入れることをご承諾頂きたいと存じます」
片膝をつき、粛々と頭を下げるウィルの王太子らしからぬ慎ましやかな嘆願に、両親もエレンもひしと固まってしまった。
「こちらのお方は、我がバークレー国次期国王、王太子ウィリアム殿下であらせられる。
もう一度言います。その手をお離し下さい、伯爵」
ミケルがウィルの身分を告げるなり、目を見開いた両親とエレン。
父はウィルを掴んでいた手を解き、震えながら後ずさった。
驚くのも無理はないとわかっていたのだろう、ウィルは怯えさせないよういつもの優しい声音で続けた。
「王家の古い慣習で、成人までは身分を明かさず、騎士としての訓練を受けるようにと、厳しく躾られておりました」
姿勢を正し、真っ直ぐな瞳で真摯に語るウィル。
マリー自身にも多少なりとも非はあるはずなのに、全て彼の都合だと責任を負う姿勢に愛おしさは膨らみを増すばかりだ。
「四年前、初めてマリーアンジュ嬢に出逢ったときから、私の心は彼女に心酔しておりました。
今も、これから先も変わることなく、マリーアンジュを愛し続けます。
父上様、マリーアンジュを我が城に王太子妃として迎え入れることをご承諾頂きたいと存じます」
片膝をつき、粛々と頭を下げるウィルの王太子らしからぬ慎ましやかな嘆願に、両親もエレンもひしと固まってしまった。