王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
エピローグ、――それから、それから。
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 四年前の春、青年と少女はお互い一目で恋に落ちました。

 それから、初めて想いを打ち明けられたのが、少女が十六歳になったばかりの頃でした。

 青年がまもなく成人を迎えようかとする頃。

 ふたりの前に壁が立ちはだかりました。

 けれどその障害は、お互いの大切さを気づかせてくれる、大事な転機となりました。

 何があっても決して失くさないようにと、想いを心に強く刻んだ春の終わり。

 お互いへの想いを糧として、痛みと苦しみをふたりで乗り越えることが出来ました。

 そして、夏が始まろうかという頃。

 少女は淑女への階段を一歩上がり、王太子であった青年の婚約者として、国民の前に立つことになりました。

 民の中には、かつて少女が大公爵の婚約者だったと知る者もいました。

 けれど、大公爵の野望が公にされると、青年は悪しき者に囚われた少女を救った英雄として称えらることとなりました。

 青年と少女のとても幸せそうな表情に、この国の未来が明るく見えたのは、そこにいた皆が思っていたことでしょう。

 父も母も、国王も王妃も、国民も、国を明るく照らすふたりの結婚を盛大に祝福し喜びました。


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 それからふたりは、お城で幸せに暮らしましたとさ。

 めでたし、めでたし。


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