王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
ミケルには、ウィルを動かすものがマリーへの想いであることがお見通しなのだ。
ふん、と照れ隠しに顔を背け、ウィルは馬を進める。
「言われなくても、最初からそのつもりだ」
「左様で」
気丈に見せてみても、長年仕えるミケルにはおそらく通じない。
ウィルにとっても初めてだった口づけ。
思っていた以上に柔らかだった彼女の口唇は、ウィルの本能にけしかけた。
けれど、それを押し止めたのは、マリーが怯えた目をしたからだ。
突然あんなことをして、怖かったに違いない……
逃げてしまったマリーの後ろ姿に、ちくりと胸が痛む。
馬の足音をぼんやりと耳に受けながら、嫌われてしまったのではないかと項垂れる。
きちんと謝罪をしなければと反省しきりの彼を、ミケルは隣に並んで優しく見つめた。
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ふん、と照れ隠しに顔を背け、ウィルは馬を進める。
「言われなくても、最初からそのつもりだ」
「左様で」
気丈に見せてみても、長年仕えるミケルにはおそらく通じない。
ウィルにとっても初めてだった口づけ。
思っていた以上に柔らかだった彼女の口唇は、ウィルの本能にけしかけた。
けれど、それを押し止めたのは、マリーが怯えた目をしたからだ。
突然あんなことをして、怖かったに違いない……
逃げてしまったマリーの後ろ姿に、ちくりと胸が痛む。
馬の足音をぼんやりと耳に受けながら、嫌われてしまったのではないかと項垂れる。
きちんと謝罪をしなければと反省しきりの彼を、ミケルは隣に並んで優しく見つめた。
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