王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
どちらの気持ちも自分のために向けられているものだ。
「楽しかったの……知らないことをたくさん知れて、世の中はうんと広いんだってことを知って、私……」
どちらかの肩を持つことなんてできるわけはなく、ただ自分の本心だけを切れ切れに吐露することしかできない。
それを受けるエレンが大きく吐いた呆れた溜め息は、マリーの胸をずきりと痛ませた。
私は、子どものわがままを口にしているだけなのかしら……
何の知識もないままでいた方が、皆が幸せでいられたの?
「マリーアンジュ」
小さな声と瞳を震わせるマリーに、ウィルが優しく呼びかけてきた。
けれど、それ阻むように、マリーの手を自分の後ろに回して、エレンがウィルとの間に立ち塞がった。
それでも構わず、ウィルは落ち着いた様子で語りかけた。
「今度会う時は、何の後ろめたさもなく堂々と君に会いに来るよ」
「……っ、ウィル……っ」
「楽しかったの……知らないことをたくさん知れて、世の中はうんと広いんだってことを知って、私……」
どちらかの肩を持つことなんてできるわけはなく、ただ自分の本心だけを切れ切れに吐露することしかできない。
それを受けるエレンが大きく吐いた呆れた溜め息は、マリーの胸をずきりと痛ませた。
私は、子どものわがままを口にしているだけなのかしら……
何の知識もないままでいた方が、皆が幸せでいられたの?
「マリーアンジュ」
小さな声と瞳を震わせるマリーに、ウィルが優しく呼びかけてきた。
けれど、それ阻むように、マリーの手を自分の後ろに回して、エレンがウィルとの間に立ち塞がった。
それでも構わず、ウィルは落ち着いた様子で語りかけた。
「今度会う時は、何の後ろめたさもなく堂々と君に会いに来るよ」
「……っ、ウィル……っ」