王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「本当なら、ドレスや宝石をプレゼントしたいところだったけれど……これだけで申し訳なく思うよ。
 どこの誰ともわからぬ輩からの贈答品を、マリーのご両親に不審に思われでもしたら、君の体裁が悪くなってしまうからね。
 許してくれ」


 切なげに眉を下げるウィルに、マリーは手にした薔薇を写したような華やかな笑顔を見せた。


「ううん、この薔薇だってウィルからもらったというだけで、うんと特別なものよ。
 それに、ウィルが教えてくれたから流星群を見られて、私すごく幸せだった。
 朝は起きられなくって。危うく朝食に遅れそうになってお父様に叱られるところだったけれど。
 でも、夜更かしなんて、不良娘にでもなった気分で、ハラハラしてとっても楽しかったわっ」


 マリーは心から溢れる思いをそのままウィルに伝えた。
< 7 / 239 >

この作品をシェア

pagetop