王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「花嫁は自分で探す」
「片田舎の伯爵令嬢にでも求婚するか?」
知ったような物言いをしたフレイザーに、ウィルはそれまでにないような鋭い視線を向けた。
「フレイザー、貴様……」
ウィルは苛立ったように歯噛みしながら、強く拳を握る。
立ち上がろうとすると、部屋をノックする音に出鼻をくじかれて力を抜いた。
メイドがふたり分のカップを運んでくる。
傍らの金細工の施されたテーブルに置かれたそれから香ばしい紅茶の香りが立ち昇る。
けれど、リラックス効果があるはずのそれは、ウィルの心を和ませきれなかった。
メイドが部屋を出てすぐに、フレイザーはニヤつきながら口を開く。
「あんな片田舎の伯爵家に出入りしていることを、国王が知ったらどう思うだろうか」
フレイザーがマリーの屋敷を訪れたあの日、姿を見られでもしたのか。
この男にだけは知られたくなかったことに、ウィルは苛立ちを隠せない。
「片田舎の伯爵令嬢にでも求婚するか?」
知ったような物言いをしたフレイザーに、ウィルはそれまでにないような鋭い視線を向けた。
「フレイザー、貴様……」
ウィルは苛立ったように歯噛みしながら、強く拳を握る。
立ち上がろうとすると、部屋をノックする音に出鼻をくじかれて力を抜いた。
メイドがふたり分のカップを運んでくる。
傍らの金細工の施されたテーブルに置かれたそれから香ばしい紅茶の香りが立ち昇る。
けれど、リラックス効果があるはずのそれは、ウィルの心を和ませきれなかった。
メイドが部屋を出てすぐに、フレイザーはニヤつきながら口を開く。
「あんな片田舎の伯爵家に出入りしていることを、国王が知ったらどう思うだろうか」
フレイザーがマリーの屋敷を訪れたあの日、姿を見られでもしたのか。
この男にだけは知られたくなかったことに、ウィルは苛立ちを隠せない。