レンタル魔法少女
声のする方を見ると、買い物帰りの魔法族の親子が箒に二人乗りして帰宅途中の様だ。
幼稚園の制服を着た男の子が、私を指さして不思議そうな顔をしてる。
まぁこんな時間にこんな所いりゃ、変身してなくても魔法少女だって分かっちゃうか。
「なんで見ちゃダメなの?」
「え?えーと……蛙にされちゃうからよ」
右眉がピクリと動いた。
魔法族のクォーターである魔法少女の私に、そんなの出来るわけないじゃん。
メデューサじゃないんだから。
避ける意味も理由も無いのに適当な事をでっち上げないでほしい。
あ……でも。
私はクスッと笑うと、ポケットに手を入れてコンパクト型のアイテムを取り出した。
「マジックガール・メタモルフォーゼ!黒月 鞠菜が命じる!我に力を!」
たちまち銀色の光が私を包み込み、衣装や髪を変えていく。
手入れ出来なくてボサボサの髪は水色のツインテールに、ボロい服は魔法少女の衣装に。
コンパクト型のアイテムは長い杖に早変わりした。
典型的魔法少女は変身後に決め台詞を言うけど、私はめんどくさいし恥ずかしいからカット。
これで魔法少女である私の姿が完全に完成した。