レンタル魔法少女
まっすぐ私の方へ向かって走る人影が見えた。
羽も生えてない、わざわざ箒を使わず自分の足で移動してる。
人間族だ。
私は馨の高い背に隠れた。
「ほら、お得意さん来たよ~?」
「知らねっ。無視しろ無視」
遠くからでも絶対見間違えない。間違えようが無い。
あれは二つ目の仕事の常連客だ。
関わったら終わりだ。
私は馨の後ろで目標物が去る事を祈る。
「はい。君、これの常連客でしょ?ご利用ならどーぞ」
だが祈りは届かず、馨は無慈悲にも私の首根っこを猫みたいに持ち上げて、ポイと彼に放った。
こいつは血も涙も無いのか!!?
「おねーさんありがと!ね、魔法少女。今日は俺と遊園地行ってくれる?」
「は、遊園地?そんな金無いぞ……」
「全額俺の奢りだって!大丈夫だよ、なんならチュロスも買うよ?」
「ちゅろす……」