レンタル魔法少女
「んっまいね、これ!」
「あ、あぁ……確かに美味しいけど」
「このデザートいる?美味かったよ」
「貰う……」
客はさっき言った通り、チュロスとレストランの料理を奢ってくれた。
一応私がステーキを十皿食べたおかげで三分の二はタダになったけど、レンタル魔法少女代、客の分のレストランの料理代、チュロス代と……結構する。
こいつは成人済みには見えないけど、どこから金を手に入れてるんだろう?ちゃんと払えるんだろうか?
私がデザートを頬張ってるのを見て、またこの客は笑顔になる。
外はだいぶ暗くなったけど、室内にお日様が入ってきたみたいだ。
この馬鹿みたいに幸せそうな顔をする奴は、私が営むレンタル魔法少女の常連客。
名前は知らない。
おそらく私と同じくらいの年である事、私といるだけで弾けんばかりの笑顔になる事、それから……時々ナイフを右手に持ってたのを左に持ち替えたりしてる所から、両利きである事が分かる。
知ってるのは、それくらいだ。
私はレンタル魔法少女。
こいつはレンタル魔法少女を利用してる客。
ただ、それだけの関係。