涙の嘘に、願いを込めて。

『永遠(とわ)ー?生きてるー?』
冗談混じりに私の目の前でおーいって、手を振る大樹(だいき)。

少し風を伴って宙をきるその手は、男子特有のゴツゴツとした大きな手で。
この愛くるしい童顔からは想像もできないようなその手さえも、愛しいと思ってしまう私は、きっと重症だ。


「うーん…眠いね」
『お前いつでも眠いじゃん』
「今日ちょっとしか寝てないんだもん」
『嘘つけ』
『お前が昨日9時に寝て、今日8時に起きたの俺知ってるかんな』
「え、なんで知ってるの」
こわーい、なんて言って、両腕をさする。

『永遠の母さんが言ってた』
『“あの子ったら最近寝過ぎなのよねー”つって』
私のお母さんの前をする大樹に、思わず苦笑。

「似てない(笑)」
『なんだとー!俺、モノマネをやらせれば世界一って言われるから!』
「言われたことないくせに〜」
『いーや言われるから。すれ違ったら“よっ、モノマネ世界一!”って皆に言われてるから』
「そんなの見たことないんだけど」
『それはお前の目が節穴なだけ』
「私視力1.8あるから」

私がああ言えば、大樹がこう言う。
そんな時間が、私はどうしようもなく好きなんだ。
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