【短】虹色
がらがらがら。
と、少し間伸びした音を出して教室のドアを開けたら、すぐにふんわりとした声に呼び止められる。
「…茉莉亜…?」
「…あー…都夢…」
声を掛けて来たのは、同じクラスで席が隣の安西都夢(あんざいとむ)だった。
彼とは、席順的に隣同士になってからすぐに、名前の件から意気投合し仲良くなった。
「…まりあ、ってどう書くの?」
「…とむはどう書くの?」
そんな感じだったと思う。
いきなりの質問にも関わらず、すんなり会話をスタートする事がなんとなく嬉しくて、あたしはその日から彼とよく話をするようになっていた。