【短】虹色
自分の気持ちを認識した日の放課後。
誰もいない教室で、校庭を眺めてた。
別に未練はないけれど、なんとなく見つめるグラウンド。
と、そこに…。
がらがらがら。
また、間伸びしたドアの音。
振り返ると其処には彼がいて、びっくりしたような顔をしながら、あたしの方へと近づいて来た。
「…茉莉亜?…どした?」
「え…?」
「…泣いてる」
「あ…」
自分でも知らずに溢れた涙。
堪え切れずに、一滴、転がり落ちていく。
震える指で拭う前に、降りてきた温かい手の平。