君のいる世界で夢を見る
家に帰るとお姉ちゃんは部屋にこもってしまった。
「……お姉ちゃん」
その夜私は初めて恐怖を感じた。
「あと…あと何回、皆とお話…できるのかな」
「あと…何回、学校に行けるのかな…」
一人になると後ろ向きなことばかり考えてしまう。
こんな時だからこそ笑顔でいなくちゃダメだよね…。
次の日
「おはよう!」
「おはよう!お姉ちゃん」
「陽葵今日は、部活行くの?」
「うん。行こうかなって!小羽とも約束してるし」
「そっか。今日は陽葵の好きな唐揚げだから早く帰ってきてね。」
「やったぁ!いってきます」
お姉ちゃんいつも通りだった…
良かった。
家を出ると向かいの家から出てくる1人の男子に遭遇した。
「陽葵…」
一応紹介しておくね。
星海 翔(ツバサ)。幼い頃から一緒の…まぁ、幼馴染ってやつかな?
家も近くて同じ天ノ宮高校の2年生。
そして、サッカー部のキャプテン。
「翔…今日も朝練?」
「まぁな」
「そっか…頑張ってね」
「おう。陽葵は?」
「私も小羽とバレーするの。」
「ふーん。」
「ふーんって何よ!」
「別に。」
そう言い残し歩きだした。
ほんっとに無愛想なやつ…!
でも…
「……」
余計なことは考えない!
とにかく小羽待たせちゃダメだよね。
「小羽!」
「あ、陽葵。今日は星海君とお喋りしてたのか…」
「違うよ!あれは、喋ったうちに入らないから…」
「そうなの…」
何故かすごい微笑みの眼差し…。
「小羽…あんたねーっ!」
「ごめんごめん!始めよ!」
「私が買ったらクレープ奢ってね〜」
「いいよ。じゃ、私が買ったらアイスね」
いつものように2人だけの朝練を始めた。