やりなおしちゃってもいいんですか?
部屋着に着替えた私が1階に降りるとおいしい匂いと共に彩ちゃんと母の

楽しそうに会話する声が聞こえる。

うらやましいとは思わないけど二人の前に立った時急に場の空気が

変わると思うと気が重い。

それでも空腹には勝てず会話に割り込む様にダイニングチェアーに座る。

そして目の前に置かれた晩御飯のおかずを見てちょっとびっくりした。

だって和食中心の母の料理とは思えないほど和からかけ離れた料理だったからだ。

しかも、うちには今までなかった「スキレット」があるからだ。

「すごいでしょ~~。これ…彩ちゃんが作ったのよ~」

自慢げに話す母にちょっと引く。

「…うん。このスキレット今までうちになかったしね。母さんが作ったとは
思ってない」

ちょっと嫌味な言い方をしてみたけど母には効果なし。それどころか

今日は2人でお出かけしてホテルのケーキバイキングでケーキを食べまくっただとか

スカイツリーに行っただとか…母さんがいつもに増してハイテンションだった。

彩ちゃんもすごく楽しそうに頷いていた。

ま~2人が楽しければそれはそれでいいと思うけど…

本当にこれでいいの?

こんなに2人楽しそうにしてるけど彩ちゃんの本来の目的は観光じゃない。

でも私の方から浩二の事は諦めて北海道に帰ってくださいとは言えない。

いや、言うべきではない。
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