やりなおしちゃってもいいんですか?
3

ふ・た・り・き・り

翌日の朝、

寝起きのもっさもさの頭にすっぴん。

でもこの顔はもう何度か見られ、いまさら隠す必要もなくなってしまった私は

いつも通りに起きて寝起きのもっさもさのまま階段をおりる。

普段なら階段を降りる音に気付いた母が「ご飯出来てるから早く食べなさーい」と

甲高い声で急かすところなのだが今朝は母の声が聞こえない。

でもダイニングテーブルにはちゃんと朝食は用意されていた。

「お母さん?」

母を呼ぶと「はいはい~い」と慌てた様子でリビングに現われる。

その姿に私の動きが止まる。

母はミニキャリーをもってどこかへ出かける様子だったからだ。

「ふぁ~っ。どうしたの?」

あくびをしながら視線はキャリーバッグに釘付けになる。

母は疲れ顔で肩を落とす。
「どうしたもこうしたも・・・お父さんが仕事中にぎっくり腰になったらしいのよ。
一人じゃ何も出来ないから今から大阪にいってくるわ」

「ぎっくり腰?!」

私は顔を歪ませる。

母は落ち着きなくメガネメガネといいながら慌ててリビングへ向かう。

私は母の後についていながら

「父さん大丈夫なの?ってか母さんいつまで父さんのとこにいる予定なの?」と尋ねる。

「そんなのわかんないわよ。でもぎっくり腰を馬鹿にしちゃいけないわよ。
あれは辛いんだから・・・って事で家の事頼むわね」

母はメガネをバッグに入れるとそのまま玄関へと向かう。

「?まじ?」

恐らく私がこの家に一人だったらこんな事言わなかった。

でも今家にはもう一人・・・・いる。

すると2階からそのもう一人がが降りてきた。
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