やりなおしちゃってもいいんですか？
浩二をみた母は普段より１オクターブ高い声で

「杉谷くん朝から騒がしくてごめんなさいね～。
実は私、これから大阪にいくことになっちゃったのよ～」

といいながら手を合わせる。

「は～」

浩二は寝起きのせいかいまいちこの状況をわかっていないようだ。

すると車のエンジンの音が聞こえた。

「あら、もう、タクシーがきたようね」

母は慌てて靴を履くと何か思い出したように浩二を見る。

「そうそう、工事は予定通り今日から２～３日で終わる予定だから
もう少し我慢してね」

申し訳なさそうな表情を見せたかと思うと私にはあからさまに真顔を向ける。

「私がいない間、メグが御飯の用意をするのよ。いい？」

「･･････えー！」

そうじゃん。母がいないと言うことはこの家には私と浩二の２人きり

「ちょ、ちょっとー。若い男女が同じ屋根の下って･･･いいの？親としてそこ
心配するとこなんじゃないの？」

抗議するが母は表情一つ変えず

「仕方ないじゃん。私はお父さんの方が心配だしそれに･･･
私がいない方が逆にいいんじゃなーい？」

とニヤリと笑う。

「そ、それ年頃の娘に言う言葉？」

呆れる私を無視するように母は浩二の方をみて

「杉谷くん、メグの事よろしくね」というと

母は足取り軽く家をでた。
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