やりなおしちゃってもいいんですか?
「あ~~!違うんだそうじゃなくて・・・
俺がマンションに帰った理由わかってるだろう?
一晩中メグのそばにいたら理性を保てる自信がないって事」

「あっ?」

私はぱっと顔を上げる。

浩二は照れた様子で口に手を当てる。

「さすがに、あんな事の後だから手を出したりはしないよ・・・だけどごめんな」

浩二が私の頭にポンと手を乗せる。

「わ、私こそごめんなさい・・・どうしてこんな事しちゃったんだろう」

上目遣いで浩二を見ると浩二は優しい眼差しであたしを見つめていた。

そんな目で見られるとドキドキしちゃうよ。

「じゃ、じゃあね、寝るね」

私は後ろに一歩下がる。

するとドアに背中が当たる。

浩二はまだ私を見つめたままクスッと笑う。

「・・・じゃあさ・・・メグが熟睡出来る様、おまじないしてあげる」

「おまじない?」

「そう、これ結構効き目あるんだって」

「・・・そうなの?」

浩二が一歩近づいてくる。私は既に背中がドアについていて動けない。

「おまじないってどんなことするの?」

よくわかんないけどドキドキする。

「・・・まず動かないで目を閉じて」

私は浩二に言われるまま目を閉じる。

「じゃあ・・・おまじないするけど目は開けない。いいね」

「う・・・うん」

どんなおまじないなのかまったくわからないから余計に鼓動は早くなる。

そして姿勢を正すと唇に柔らかい物が当たる。

それが浩二の唇だって事はすぐにわかった。
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