やりなおしちゃってもいいんですか?
そしてゆっくりと唇が離れたと同時に目を開けると

浩二は再び私の頭を軽くポンポンと撫でると唇を

私の耳の近くまで持ってきて「おやすみ」と囁き

部屋の中へ入っていった。

「何がおまじないよ。これじゃ・・・まったく眠れないよ」

呟く様に言うと私はしばらくその場から動けなかった。



・・・2回目。

濃厚じゃない触れるだけのやさしいキス。

それなのに1回目と同じくらいドキドキして

全然眠れななかった!

おまじないはまったく効果がなかった。

一つわかったことは濃厚だろうがソフトだろうが浩二のキスは

私を必要以上にドキドキさせるって事。

「おはよ~。おはよう・・・おっはよ~・・・」

あ~~なんて挨拶したらいいんだろう。

ベッドに腰掛けていろいろと挨拶のシュミレーションをしてみたが

どれもしっくりこない。

でもこんなところで考えてもどうにもならない。

「よっこらしょ・・・っと」

重い腰を上げ、私は階段をおりた。

朝食の用意をしようとダイニングチェアにかけたエプロンに手を伸ばそうとすると

テーブルの上にメモがあることに気付く。

「帰るな。ちゃんと戸締まりしろよ。何かあったらすぐ連絡すること   浩二」

というメモが置いてあった。

え?浩二帰っちゃったんだ・・・・

私はメモをじっと見つめながら小さな溜息を吐いた。
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