March
「終わったねぇー」
父と母が見守る中、卒業式は終わった。
中には泣いている子もいたけど、わたしは涙は出なかった。代わりに、胸は一杯だったけれど。
「でも明日合格発表とか気が重いねー…………落ちてたらやだなぁ」
高崎さんがそう言ったから、由利も頷いていた。
「そうだよねー。絵梨香は自信ある?なんせあの矢鶴高校だもんね」
「うー。ないよー多分落ちたぁ」
「大丈夫だよ。藤原さんは成績いいもん」
「分かんないよ、落ちたかも知れない……」
矢鶴高校は、わたしが受けた高校の名前。東大にも一学年何人も合格するような高校。
わたしは中学校でいつも2番手だった。
「まぁ………終わったことだし。あとは結果を受け入れなきゃねっ」
「うん、そうだよ」
そんな話をしていた時、両親が写真を撮ろう、と呼んでいた。
「おーい、絵梨香、三人で写真とってあげるよ」
「えー………わたし写真映り悪くて別人になるからやだー」
「そんなこと言わんと。高崎さんも由利ちゃんもおいでか」
「はーい………」
わたしは渋々返事をして、三人で写真に収まった。
それから家に帰って、明日合格発表であることを思い出し、一気にナーバスになった。
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