March
「ねぇ、何の楽器の人?」
わたしは電車の中で保科将紀君と一緒にいた。
一緒に帰る人がいなかったから。
「んー?トロンボーン」
「そうなんだ。じゃあ、あの部長さんと一緒なんだ。城ケ崎さんだったかな?」
「そうだな」
将紀君はよく見たら、ぼんやりしているもののなかなかのルックスだった。身長は高いし、顔立ちも綺麗で中性的な感じだ。
他愛のない、特別おもしろくもないような会話をしていると、わたしが電車を降りる高菜駅に着いた。
「じゃあ、わたしここで降りるね」
「うん。じゃあね…」
「ばいばーい」


高校に入学してから、初めて男友達ができた。
わたしは男子が苦手で、あまり話さないけれど、彼とは仲良くなれそう。

次の日の予習をして、わたしは床に就いた。
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