HARUKA~始~
翌朝。

久しぶりに気分良く起き上がる。

朝食はパンの耳とスクランブルエッグ、
弁当に詰めたブロッコリーを少々拝借した。


パンの耳は残り物のイメージが定着していて固いから嫌いっていう人もいるけれど、
私はわりと好き。

いや、大好き。



学校におやつとして持っていこう。



そう思い立って、すぐにタッパーに一口大に切った耳を入れてレンジでチン。 

レンジから取り出したら、蓋を開けて砂糖をまぶす。


パンを乾燥させて、ラスクのあの感じを再現するまでの間に歯磨きなどを済ませる。


教科書確認。 


よし!大丈夫!
 


保冷バックにお弁当、自家製ラスクを入れて…さあ出発!



履き潰したスニーカーのつま先をトントン。



そして玄関のドアを開ける。




青い空、白い雲、散りゆく淡いピンクの桜ーーー。




今日は良い日になるといいな…



「あっ、そうだ…」



1つ忘れ物をした。スニーカーを急いで脱いである場所へ向かう。



「行ってきます」




いってらっしゃいは聞こえない。

< 10 / 84 >

この作品をシェア

pagetop