HARUKA~始~
翌昼。


誰もいない事件現場で冷たい弁当を流し込んだ。



昨日はあれから先の記憶が無い。


知らないうちに教室に戻り、

なんとなく授業を受け、

いつもわざと私にゴミを押し付けてくるのに押し付けてこなかったような記憶がある掃除を終え、

バイトも無いので真っ直ぐ家に帰った。



ベッドに突っ伏したらそのまま深い眠りに落ち、いつものように朝食をとり、昨日一口もつけなかったお弁当を持って出かけてきた。


朝の「おはよぉ」は言っていた気がする。


私は「おはよう」って言ったっけ?



とにかく意識が朦朧としたまま24時間を過ごし、ここに戻ってきてしまった。

一応、食べたものの、活力はみなぎってこなかった。

エネルギーが逆に抜かれてしまったような感じ。

今日は幸いにもバイトが入っているから、それで気は紛れるだろう。



「はあ…」


 
ため息をつきながら天井を仰ぐ。



すると、どこからか音楽が聞こえてきた。
たぶん、バンド部だ。
 

エレキギターの激しい旋律やドラムの迫力のあるリズムが耳を通り抜ける。


今まで気づかなかったが、東側にバンド部の部室があるらしい。

新入生歓迎会では3つのグループが演奏してくれた。



私は激しい音楽は嫌い。

心がかき乱される。


基本的に静かなものを好むから、バンドなんて集中して聴いたことなかったけれど、今改めて聴くと新鮮。


感情の波を表すように、強弱や弾き方、叩き方が変化している。


揺れ動く音楽はまさに今の私そのもので、なんだか投影されたかのようだ。








ふと昨日のアイツの顔がよぎる。




謝らなきゃなぁ…

でも、何て謝ろう?

分かっているのに、分からない。

素直にならなきゃと思うのに、なれない。





どうして心のベクトルは逆を指すの?
...教えてよ。
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