HARUKA~始~
ゴールデンウィークが開けてから最初の登校日。
「おはよう、晴香ちゃん」
「あっ…おはようございます」
「この前はごめんね。別れ際、俺怒ってて晴香ちゃんのこと無視して帰っちゃった。
ホント、ごめん」
「いえ、大丈夫です」
実際は落胆して、頭が混乱して、全然大丈夫じゃなかったけれど、香園寺くんに余計な心配はさせたくなかったから何も言わなかった。
「あの…それより、約束のことなんですけど…」
「あっ、思い出した?まあ、そのうち分かるよ。俺の口からは言わない」
えっ…
それじゃあ、あの日は無意味だったってこと?
疑似デートを体験させてもらえたのはありがたいけど、私は助けてくれた人にお礼を
言えず、モヤモヤを抱えて過ごしていかなければならないのか…
心に重くてずっしりとした得体の知れない何かが乗っかった。
「そんな顔しないで。晴香ちゃん、笑ってたほうがかわいいんだからさ」
ほっぺをむぎゅっとつねられる。
私は正直笑いたい気分じゃなかったけれど無理矢理笑った。
なんか…不自然な笑顔な気がする。
自然に笑えない。
「今日も元気に頑張ろう!」
そう言って香園寺くんは自分のロッカーに向かって行った。
私は糸がプツンと切れたように椅子に座り込んだ。
香園寺くんといると無駄に緊張する。
話してても誰かが絶対見てるし、私を指差してヒソヒソと悪口を言ってたりもする。
そういうのを感じる度に私は思い出したくもない過去を思い出してしまう。
だから、もうこれ以上関わらないでほしい。
そっとしておいてほしい。
本当に好きならなおさらだ。
かなり上から目線な物言いになってしまったが、これが本心。
朝から心底疲れたー。
キーンコーンカーンコーン…
キーンコーンカーンコーン…
時計をちらりと見やる。
ーーーとその時。
「だーれだ?」
急に目の前が真っ暗になって、後ろからムカつく声が聞こえてきた。
「手、どけて」
冷たい声音で言い放つと
「はるちゃんご機嫌斜めで怖いぃ」
こんな幼稚園児みたいな遊びをしてる場合じゃないの!!
怒りが頭の神経にまで巡ってきた、まさにその時。
「止めろよ。嫌がってる」
王子様が助け舟を出してくれた。
明るさに順応できずに何度か目をパチパチさせる。
違和感が取れて、香園寺くんにお礼を言おうと横を向くと、そこでは冷戦が繰り広げられていた。
お互い何も言わず、ただ真剣な眼差しをぶつけ合っている。
「お前、超ムカつく。人の邪魔すんな」
「お邪魔虫はそっちでしょ~」
何なの?
何が始まったの!?
「皆さん、おはようございます。出席とりますので、席に着いて下さい」
ちょうど担任の先生が教室に入ってきて一時休戦となった。
でも、またいつこんなことが起こるか予想出来ない。
お願い、大人しくしててね。
午前8時36分42秒。
歯車が動き出した。
「おはよう、晴香ちゃん」
「あっ…おはようございます」
「この前はごめんね。別れ際、俺怒ってて晴香ちゃんのこと無視して帰っちゃった。
ホント、ごめん」
「いえ、大丈夫です」
実際は落胆して、頭が混乱して、全然大丈夫じゃなかったけれど、香園寺くんに余計な心配はさせたくなかったから何も言わなかった。
「あの…それより、約束のことなんですけど…」
「あっ、思い出した?まあ、そのうち分かるよ。俺の口からは言わない」
えっ…
それじゃあ、あの日は無意味だったってこと?
疑似デートを体験させてもらえたのはありがたいけど、私は助けてくれた人にお礼を
言えず、モヤモヤを抱えて過ごしていかなければならないのか…
心に重くてずっしりとした得体の知れない何かが乗っかった。
「そんな顔しないで。晴香ちゃん、笑ってたほうがかわいいんだからさ」
ほっぺをむぎゅっとつねられる。
私は正直笑いたい気分じゃなかったけれど無理矢理笑った。
なんか…不自然な笑顔な気がする。
自然に笑えない。
「今日も元気に頑張ろう!」
そう言って香園寺くんは自分のロッカーに向かって行った。
私は糸がプツンと切れたように椅子に座り込んだ。
香園寺くんといると無駄に緊張する。
話してても誰かが絶対見てるし、私を指差してヒソヒソと悪口を言ってたりもする。
そういうのを感じる度に私は思い出したくもない過去を思い出してしまう。
だから、もうこれ以上関わらないでほしい。
そっとしておいてほしい。
本当に好きならなおさらだ。
かなり上から目線な物言いになってしまったが、これが本心。
朝から心底疲れたー。
キーンコーンカーンコーン…
キーンコーンカーンコーン…
時計をちらりと見やる。
ーーーとその時。
「だーれだ?」
急に目の前が真っ暗になって、後ろからムカつく声が聞こえてきた。
「手、どけて」
冷たい声音で言い放つと
「はるちゃんご機嫌斜めで怖いぃ」
こんな幼稚園児みたいな遊びをしてる場合じゃないの!!
怒りが頭の神経にまで巡ってきた、まさにその時。
「止めろよ。嫌がってる」
王子様が助け舟を出してくれた。
明るさに順応できずに何度か目をパチパチさせる。
違和感が取れて、香園寺くんにお礼を言おうと横を向くと、そこでは冷戦が繰り広げられていた。
お互い何も言わず、ただ真剣な眼差しをぶつけ合っている。
「お前、超ムカつく。人の邪魔すんな」
「お邪魔虫はそっちでしょ~」
何なの?
何が始まったの!?
「皆さん、おはようございます。出席とりますので、席に着いて下さい」
ちょうど担任の先生が教室に入ってきて一時休戦となった。
でも、またいつこんなことが起こるか予想出来ない。
お願い、大人しくしててね。
午前8時36分42秒。
歯車が動き出した。