HARUKA～始～
そういえば、私のクラスには王子様もいるけどお姫様もいる。

私の中で彼女はふわふわちゃん。

髪の毛の一本一本が細くて茶色でミディアムボブのふんわりカットがよく似合っている。

雰囲気もふわふわとしていて話しやすく、こんな私にも毎日「おはよう」と声をかけてくれる。

そんな彼女は男子からも女子からも好かれていて、クラスのお姫様。

ティアラにドレスが本当に似合いそうで、女子の私の目から見てもかわいくて純粋で、性格も良い完全無欠な女の子。

彼女の名は―――
　

「新妻優奈です。今日から石澤くんの後ろの席だから、よろしくね」


新妻優奈。
彼女は石澤玄希のキャラをたいそう気に入っているらしく、よくちょっかいを出している。

仲良さそうだし、まあそうじゃないにしてもお姫様の言うことだったらきっと聞いてくれるに違いない。

そう思って、私は勝手に彼女を石澤玄希のお世話役に任命した、心の中で。

そうすればこちらの負担も減り、とても楽な毎日が送れる。

うん、快適、快適。






席替えで少しずつ人間関係が変化していた。

気がつかないうちに距離ができたり、逆に埋まったりしている。

でもそれは本当に無意識に起こっていて、もしかしたらその微妙な変化で、自分が知らないうちに誰かを傷つけているのかもしれない。


7月になり、気温が30度を越える日も増えてきた。
塩をかけられたナメクジのようにグダーっとしている人もいるけれど、それではこれからやってくる暑くて燃えるような夏を乗り越えられないだろう。
< 30 / 84 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop