HARUKA~始~
「晴香ちゃん、ボール掴んで!!逃げないで!!」


いやいや、ムリ。

逃げるので精一杯。


私たちは今、チームのメンバーを二手に分け、実践練習を行っている。

私は運良く?いや、運悪く最後の1人になってしまって、孤軍奮闘していた。

相手チームはまだ3人残っていて、2人は男子。

勝ち目なんてなかった。

とりあえず当てられるまで逃げようと必死に、歯を食いしばって逃げ回る。


「晴香ちゃん、取れるよ!」


同じチームの関くんの声が飛ぶ。


「後ろ気をつけて!」


彼のアドバイスは極めて的確。
指示通りに動いていれば当てられることは無い。

但し逃げてばかりなので、ちっともゲームは進まず、面白くない。

現にここにいる大半は飽きて座り込み、飲み物を飲んでいる。
女子に至ってはゲーム放棄し、日陰に避難していた。

そんな中、上下長袖ジャージの私は3分以上1人で縦横無尽に駆け回っている。

喉が乾き過ぎて痛みと熱を帯びてきている。


そろそろ限界…


視界が一瞬ぼやけ、足がよろめく。







バンッ―――――






その瞬間、目の前から光が消えてまっ暗闇に閉じ込められた。
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