HARUKA~始~
河川敷に行ってみた。

後片付けの真っ最中で、若いカップルや家族はほとんど見かけない。

出店が辛うじて数軒やっているくらいで、辺りは閑散としている。


そんな中をどこを目指すということも無く歩き回る。

花火は無いけれど、大きな夜空には数え切れないほどの星たちが描かれている。
「私を見て!」と星たちはアピールしているのだろうか。











私は分からない。
自分の大切な人がどこにいるのか。



空に帰ると言って旅立ってしまった大切な人。




手を伸ばしても掴めない。



目を凝らしても分からない。



大切な人が今どこにいて、どんな気持ちで私を見ているのか。

そもそも私を見てくれているのか。


何も分からないんだ。







だから、時々不安になる。






ううん、本当はいつも不安。





照らしてくれないとどこを歩いているのか分からない。


自分が生きている意味があるのか分からない。




私は迷子。




あの日のあの瞬間からずっと――――――









握られない片方の手を見て、切なくなる。



私が道を間違えないように、隣りで私を正しい道に導いてくれた大切な人は…













―――――もうここにはいない。
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