HARUKA~始~
手紙を添えて青い巾着に入れたお弁当箱をそっと下駄箱に入れた。
結局昨日はなんだかんだで私は弁当のことをすっかり忘れ、渡しそびれてしまった。
今日はリベンジ。
放課後にマスターのところに行き、おいしいお弁当作りの極意を伝授してもらったから昨日よりおいしいはず。
ちなみに昨日の残りは今日の私の口に入ることになった。
どうか関くんが残さず食べてくれますように。
意地悪な神様に頼るのは気持ちが乗らなかったけれど、祈らないよりはご利益がありそうな気がして、祈った。
ゆっくりと目を開け、自分の下駄箱に手を伸ばした。
―――――その時。
「やっぱり、関にあげるんだ」
聞き覚えのある声がして、だんだんとこちらに近づいてくる。
見られた…
見てほしくなかった人の1人に…
「おはようございます」
「おはよう、晴香ちゃん」
香園寺くんは何事もなかったかのように振る舞う。
でも確かにみていたはず。
私は気になって聞いてしまった。
「香園寺くん、見ましたよね?」
「何を?」
「何を、って…」
香園寺くんは完全に平然を装っている。
私を傷つけないように、必死に取り繕っているんだ。
でも…
痛いよ。
その優しさが。
今の私には何よりも痛い。
「何でもないです。―――あっそうだ!今日リレーに出ますよね?」
「ああ…うん。絶対優勝するから。晴香ちゃんを悲しませないように、ね」
彼は去っていった。
その後ろ姿は思わず目を伏せてしまうほどの悲壮感と虚無感を私に感じさせた。
「ごめんなさい…」
無意識のうちに呟いていた。
結局昨日はなんだかんだで私は弁当のことをすっかり忘れ、渡しそびれてしまった。
今日はリベンジ。
放課後にマスターのところに行き、おいしいお弁当作りの極意を伝授してもらったから昨日よりおいしいはず。
ちなみに昨日の残りは今日の私の口に入ることになった。
どうか関くんが残さず食べてくれますように。
意地悪な神様に頼るのは気持ちが乗らなかったけれど、祈らないよりはご利益がありそうな気がして、祈った。
ゆっくりと目を開け、自分の下駄箱に手を伸ばした。
―――――その時。
「やっぱり、関にあげるんだ」
聞き覚えのある声がして、だんだんとこちらに近づいてくる。
見られた…
見てほしくなかった人の1人に…
「おはようございます」
「おはよう、晴香ちゃん」
香園寺くんは何事もなかったかのように振る舞う。
でも確かにみていたはず。
私は気になって聞いてしまった。
「香園寺くん、見ましたよね?」
「何を?」
「何を、って…」
香園寺くんは完全に平然を装っている。
私を傷つけないように、必死に取り繕っているんだ。
でも…
痛いよ。
その優しさが。
今の私には何よりも痛い。
「何でもないです。―――あっそうだ!今日リレーに出ますよね?」
「ああ…うん。絶対優勝するから。晴香ちゃんを悲しませないように、ね」
彼は去っていった。
その後ろ姿は思わず目を伏せてしまうほどの悲壮感と虚無感を私に感じさせた。
「ごめんなさい…」
無意識のうちに呟いていた。