HARUKA～始～
そんな風になんとなく過ごしていたら、カーディガンが恋しい季節になった。


彼女たちが居ないから平穏な日々が戻ってくると思ってた。

でも、現実はそんなに甘くなかった。








「優奈ちゃん来れなくなって残念だわ～」

「チョー寂しいんですけど～」

「戻って来てくれないかな～」

「このまま不登校にでもなったら…」

「止めてくれ～、地獄だわ」
　
「誰かさんのせいで、俺たち生きがい失ったわ～」



明らかに私に言っている。

聞こえるように大声でイヤミを言ってくるのは、優奈ちゃんがマネージャーを務めている野球部の男子生徒たち。

私が教室に入ってくると、必ず何かしら文句をつけてくる。

彼女には他クラスのファンもいるから、私はかなりの数の男子生徒を敵に回したことになる。

それだけじゃない。

彼女と仲良くしていた女子からは完全に無視され、相手にされない。

ヒエラルキーの最高位に位置していた彼女を学校から追放させてしまった私はもはや悪者と化していた。

ここまでくるとどちらが被害者なのか分からない。

私は何一つ悪いことしていないと思うけど…

どうして人間は不平等なのだろう？

優位に立てない私は一体どうすれば良いのだろう？


　　　





そういう状況だから私は教室には居られない。

あの場所に行くしかなくなったのだ。
< 62 / 84 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop