HARUKA~始~
帰り道。



夏よりもたくさんの星達が夜空を彩っていた。

冬が1番星がきれいに見えると前に何かで聞いた。
本当にその通りで、ひとつひとつの星が鮮明に見える。

星に詳しくない私にはどれが何座なのか分からないけれど、健気に光る星はすべて大切なものに思われた。

名前が付いていても周知されていない星もあるだろう。
でもきっと、誰かにとっては小さい星も肉眼では見えない星も一瞬で消えてしまう星も大切で特別なんだ。

私たちがこの世で愛して、空に吸い込まれていった人たちの仮の姿だから。

私はそう思っている。



私の呼吸に合わせ、真っ白のスモークが星の輝きを邪魔し、ぼやけさせる。

かじかむ手に息を吹きかけ、コートのポケットに突っ込む。

手袋は使い古してボロボロになったから去年は使わなかったけれど、今年は新しいのを買うしかない。

マスクのお陰で顔はほのかに温かい。


そして、カバンにしのばせたあのブランケットを思うと胸がポカポカと温かくなった。








私の大切な人へ


もうすぐでクリスマスです。

私が大切にしたい人たちに思いが届きますように、どうか見守っていて下さい。





午後7時48分42秒。

冬の冷たい夜風が肌をすり抜けて行った。

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