HARUKA~始~
「ついに晴香ちゃんとお別れか~」


香園寺くんが思いっきり肩を落とす。


「クラス替えしても、また同じになると良いですね」

「本当にそう思ってる?」

「はい、もちろん」


彼の顔がパッと明るくなった。

雨上がりの空から太陽が顔を出した時のように。


「香園寺、練習すんぞ~」

「オッケ、今行く。...じゃ、晴香ちゃん、また今度」

「はい。1年間、ありがとうございました」


私がぺこりと頭を下げると、そこに大きな手が乗った。
私の髪がグシャグシャにされる。


「晴香ちゃん、ありがとう。大好きだよ、これからも」


彼は最後まで私に優しかった。

最後の最後まで思いが通じなかったのに、笑っていた。

やっぱり、王子様だ。

笑顔が良く似合うよ。


そういえば、風の噂では香園寺くんはギターの腕が格段に上がり、大手芸能プロダクションのマネージャーから、メジャーデビュー目前のバンドのリードギターをオファーされているらしい。

香園寺くんには可能性が広がっている。

このチャンス、絶対ものにしてほしい。


私は陰ながら応援してます。

頑張って下さい。




遠ざかる彼の背中にエールを送った。
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