イケメン双子と、もちろん『腐』の付く愛され女子と。
参拝者の波に沿うように、石階段を少しずつ上っていった碧羽たち。ようやく境内へとたどり着くと、ここでもまた人がごった返していた。
「すごいひとだねえ。お参りの順番がくるまでに、まだ当分はかかりそうだよ」
碧羽は拝殿を眺めると、圧倒されたようにそう答えた。すると漸は水舎の方をうかがって、自分たちが入り込めるスペースを見つけた。碧羽を見下ろすと、場所を移動する旨を伝える。
「御手洗(みたらし)行って手え清めとこうぜ。凛てめえは、頭から水被っといた方がいんじゃね?」
「あはは、やだなあ……僕は身も心も清らかさんだから、そんなの必要ないよ。ねえ碧羽、そう思わない?」
「え?……あ、うん……そうだね」
「いちいち碧羽に同意求めてんじゃねえ! つか何だよ、さっきの間は。後ろめたいことが有りすぎて、身綺麗な部分が思い当たんなかったんだろ」
「ひどい誤解だよね、それ……」
言葉がつづかずに、遠くを見つめる凛であった。
* * *
やっとのことで、拝殿までたどり着いた碧羽たち。其々賽銭箱に銀貨を投げ入れると、鈴を鳴らして二礼二拍一礼をする。それから合掌をすると、思い思いに願いや感謝を念じた。