イケメン双子と、もちろん『腐』の付く愛され女子と。
「あ、おい……チッ……凛てめえ、この卑怯者。とことん悪魔野郎だな」
「ふふふ、策士と言って欲しいな。好きな女の子を手に入れるために、巧妙な作戦を行使して何が悪いの? 僕たちはライバルだよ、ソコんとこ忘れないでね?」
巧妙な作戦と銘打ってはいるが、その実極めて姑息な手管であった。凛の頭部と臀部に、悪魔的なアレが無いのが不思議でならない。漸は悔しさのあまりに歯軋りをする。
「ふたりとも、何のお話しているの? 楽しそうだね」
「「……」」
非常に遺憾ではあるが、やはり今回も凛の明け透け告白は不発に終わった。だが話の流れからいっても、当然の結果なのであった。 ……許せ、凛。
「ねえふたりとも、石階段が見えてきたよ。でも凄いひとの列だねえ!」
「そうだね♪ 碧羽、危ないから僕の腕に手をまわしてなよ。階段上る時は滑ると危ないから、僕に抱きついていいからね」
「う、うん……ありがとう」
眼前に迫る石階段をまえに、大いにはしゃぐ碧羽ではあったが、凛のどさくさ発言を耳にした途端、急にしをらしくなる。
「ん、どうしたの? 碧羽」
「ううん、何でもないの」
落差の激しい碧羽の気勢に、凛は胡乱に思って彼女に問いかけた。その言葉に碧羽は顔を逸らし、曖昧な返答でお茶を濁した。