イケメン双子と、もちろん『腐』の付く愛され女子と。

 碧羽の頬がうっすらと紅く染まっている。腐女子がひとりの男子に頬を染めるなど、腐義の道に反してはいるが……けれども彼女は確かに、凛に対してほのかな恋心を抱いていた。

 だが相手は凛だ、悪魔の手先に成り下がってもよいというのか。やっとのことで、残念女子から成り上がったというのに、斯くも碧羽は生粋の幸薄少女と言ったところか。

 そもそも碧羽にとって、生まれてはじめて心に宿した恋心。ときめく想いはすべからく、BLコミックから学んだという強者だ。

 なにを血迷ったことをとつっ込むべき事態ではあるが、乙女の初恋をそっと見守るのも親心なのかも知れない。ここに来て、凛と碧羽は互いに合致した想いを抱いていることになる。

 だがしかし、簡単に両想いイコール恋人誕生などと、そうは問屋が卸さないのであった。無念。

 それと忘れてはいけない、もうひとりの青少年。もしかすると、すでに恋のトライアングルからピンはねギリギリの、名手落馬の危機を背負った漸の存在だ。

 ある意味彼という存在は、敗北の烙印を押された哀れな子羊であった。けれどもまだ、敗者復活戦が残っている。現段階ではまだ、碧羽と凛の想いは交差していない。
< 8 / 21 >

この作品をシェア

pagetop