【短】キミに触れるだけで
ザザァン…ザザァン…
繰り返される波の音だけが二人を包み込む。
とくん、とくん、と高鳴っている鼓動は彼女に伝わっているだろうか?
いつから俺を好きになってくれたの?…とか。
どうして俺を選んでくれたの?…とか。
そういうのは、今はどうでもよかった。
「大好き、だよ?」
「うん…私も、好き…」
「あー。だめ。その顔、素でしてる?だったら滅茶苦茶犯罪的可愛さだから!」
「え…、なんで?なんで?」
「ぷ、分かんなくていいよ。俺さえ分かっていれば。…好き、だよ?はる」
「うん…」
はにかんで、微笑んでくれるキミがいてくれるなら。
触れた分だけ愛しさがどんどん増していく。
キミに触れるだけで、俺は満たされていく。
今は暫くこうして抱き締めていよう。
二人でいられる間は…。
fin.