レストラン化物堂 ~人と化物の間、取り持ちます~
翌日夕方、桜子先輩、化田さん、私の三人は件のラーメン屋さんに向かって歩いていきました。太陽は徐々に空の向こう側に消えていき、夜の闇が私たちの周りを取り囲んでいきます。
この時間帯はむやみやたらと不安な気分になります。きっと、魔に出会いやすい時間――逢魔ヶ時というやつだからなのでしょう。
頭上を跳んでいたカラスの姿も消え、代わりにコウモリが飛び始めた空をぼんやり眺めて歩いていた私は、急に寒気を感じて、足を止めました。
辺りを見回してみます。そこにあったのはただの交差点でした。何の変哲もない交差点のはずです。特筆すべきところと言えば道端に固定された交通事故の看板が――
「どうしたのじゃ、よだか」
「えっ、いやあ、なんでも……」
桜子先輩に問われて、私はにへらと笑ってみせます。まさか何もない場所に怯えていただなんて恥ずかしくて言えませんからね。何とか言い訳しようときょろきょろと周囲を見回した私は、すぐ近くにある建物の存在に気がつきました。
「あっ、ここなんですよ。私が通ってる学校!」
指さしたのは田舎にしては大きめな高校、冬花高校です。私はここの一年A組に所属しているのです。
「……そうか」
「桜子先輩?」
何故か桜子先輩は暗い顔をしました。しかし、私がその理由を尋ねる前に、いつも通りの偉そうな顔に戻ると、胸を張りました。
「興味ないのう!」
「ええー、ちょっとぐらい興味持ってくださいよー」
あははと笑いながら私たちはその場を立ち去ります。私は一度だけ振り返って交差点を見ましたが、やっぱりそこには何もありませんでした。
この時間帯はむやみやたらと不安な気分になります。きっと、魔に出会いやすい時間――逢魔ヶ時というやつだからなのでしょう。
頭上を跳んでいたカラスの姿も消え、代わりにコウモリが飛び始めた空をぼんやり眺めて歩いていた私は、急に寒気を感じて、足を止めました。
辺りを見回してみます。そこにあったのはただの交差点でした。何の変哲もない交差点のはずです。特筆すべきところと言えば道端に固定された交通事故の看板が――
「どうしたのじゃ、よだか」
「えっ、いやあ、なんでも……」
桜子先輩に問われて、私はにへらと笑ってみせます。まさか何もない場所に怯えていただなんて恥ずかしくて言えませんからね。何とか言い訳しようときょろきょろと周囲を見回した私は、すぐ近くにある建物の存在に気がつきました。
「あっ、ここなんですよ。私が通ってる学校!」
指さしたのは田舎にしては大きめな高校、冬花高校です。私はここの一年A組に所属しているのです。
「……そうか」
「桜子先輩?」
何故か桜子先輩は暗い顔をしました。しかし、私がその理由を尋ねる前に、いつも通りの偉そうな顔に戻ると、胸を張りました。
「興味ないのう!」
「ええー、ちょっとぐらい興味持ってくださいよー」
あははと笑いながら私たちはその場を立ち去ります。私は一度だけ振り返って交差点を見ましたが、やっぱりそこには何もありませんでした。