結婚適齢期症候群
「そうか。そりゃ大変だな。」

岩村課長は顎を撫でながら心配そうな顔をした。

「松葉杖となると、研修の手伝いや出張は厳しいな。しばらくはデスクワークで人事内の作業に徹してもらうか。」

「はい。」

「そういえば、こないだの歓送迎会では、悪かったね。」

課長は、ふいに言ってきた。

「澤村くんもかなり恐縮していたから、料理を持って行ってもらったんだけどあの後どうだった?」

あの後、どうだった?って言われても。

まさかショウヘイと二人でゆっくりしゃべって食べて、キスしたなんて言えるわけもなく。

「お料理はちゃんと頂きました。やはり老舗ホテルのお料理だけあっておいしかったです。お気遣いありがとうございました。」

私は、課長にペコリと頭を下げた。

「そうか。いや、本当に申し訳ないことした。村上さんには今度ご馳走させてもらうよ。二人きりじゃなんだし、また怪我が治った頃澤村くんも誘って。」

いやいや、そこにショウヘイは必要ないんですが。

なんだかんだでいつもショウヘイとセットにされてるような。

たまたまだろうけど、これ以上近づいちゃったら本当に私やばくなりそう。

「ありがとうございます。はい、また機会があれば・・・。」

適当に返事をして、さっと課長に背を向けると足早に自分の席に戻った。

時計を見ると、お昼の時間を既に15分ほど過ぎていた。

早くお昼ご飯食べなくちゃ。

いつもマキと待ち合わせてる下の階の社内ラウンジに急いで向かった。


< 102 / 192 >

この作品をシェア

pagetop