結婚適齢期症候群
『あら、もう帰ってくるの?』

家に「今から帰る」と電話をしたら、母が残念そうな声で言った。

「ちょっとね。友達も今日は一人でも大丈夫みたいだし。」

『そのお友達とやらと喧嘩でもしたんじゃないでしょうね。』

うっ。

まぁ正確には喧嘩ではないんだけどね。

「まだ晩御飯食べてないんだけど、私が食べるもの何かある?」

『そんなものあるわけないじゃない!』

母はえらくすっとんきょうな声を出した。

どうして、娘が帰るのにそんな迷惑そうな感じなわけ?

「じゃ、帰り何か食べて帰る。」

『そうしてちょうだい。』

「はいはーい。じゃまた。」

あっさりと電話は切れた。

何なの全く。

このお呼びでない感じ。私を本当に必要とする人間はこの世界のどこかにいるのかしらね。

電車の窓ガラスに映る自分を見たらため息が出た。

なんだか急に老け込んだみたい。

目の輝きも肌の張りも。

そりゃ20代の頃のようにはいかないわ。

だけど30でも40でも、素敵だなって思える女性を私はいっぱい知ってる。

会社の先輩や大学の部活の先輩。

そういう風になりたいって思ってたのに、今の私はどう?

嫉妬狂いのネガティブ女。

こんなの誰も愛してくれやしないわ。

せっかく出会えたショウヘイと、お互いの気持ちをようやく確かめ合えたっていうのに。

これも、うまく繋がらないそういうご縁だったってことなのかしら。


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