結婚適齢期症候群
こんなに落ち込んでる時に、そんなセンチメンタルなこと言われるのが一番困る。

自分の感情が溢れそうになる。

「そうそう、新婚旅行はね、オーストリアに決まったよ。お姉ちゃんもお薦めだったし。」

「そう。いいじゃない、彼も賛成してくれたの?」

「もちろん。っていうか私の言いなり-。」

ユカは楽しげに笑った。

「言いなり、ねぇ。たまには、こんなおちゃらけたユカをびしっと叱ってくれないとどんどんつけ上がるわよーって忠告しておこうかしら。」

「つけ上がらないわよ。彼と私はそれでバランスが丁度とれてるの。これで大丈夫。」

「バランスが丁度いいっていうのも、ユカの視点でしょ?彼はどう思ってるかわかんないわよ。」

「いいんだってば。彼はどんな私であろうと私がいいんだから。」

「すごい自信ね。」

笑いながら、ふとショウヘイの顔を思い出す。

・・・どんな私であろうと私がいい、か。

ショウヘイは、今日みたいな私、絶対嫌だろうな。

私は、どんなショウヘイも好き?

元奥さんと親しげにしゃべってるショウヘイは、・・・嫌い。

だけど、笑ってるショウヘイも、冷めたショウヘイも、困ったショウヘイも、時々突き放してくるショウヘイも、私のそばにいてくれるショウヘイは全部好きだ。

ふっと堪えていた気持ちが緩む。

「お姉ちゃん?泣いてる?」

ユカが私の顔をのぞき込んだ。
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