結婚適齢期症候群
「彼との間に何か辛いことあった？」

こんなに優しくてかわいい妹がそばいにいるのに、こんな時ですら姉としてのプライドが頭をもたげる。

「大丈夫よ。すぐ落ち着くわ。色々と最近悩むことが多くてね。」

「私じゃ役不足ね。」

ユカはしょんぼりとうつむいた。

「そんなんじゃないのよ。また時期がきたらちゃんと言うから。今はね、ユカに余計な心配かけたくないし、今の状況を自分でもうまく説明できないの。」

「そっか。わかった。私はいつでもお姉ちゃんの味方だからね！」

ユカはそう言うと、私をぎゅっと抱きしめた。

「ありがと。」

私もユカの背中をポンポンと軽く叩いた。

「ユカもきっと不安なのね。これからの生活。」

「あはは、わかる？」

「だって、最近やたら私の後ろついて回るし、私のこと詮索するし。今までこんなにも干渉してくることなかったじゃない。」

「やば。やっぱお姉ちゃんの方が一枚上手ね。」

「そうよ、だてに三十路行ってないわ。」

ユカは手を叩きながら笑った。

よかった。

私も、ユカと話せて。

皆幸せだからって幸せばかりがついて回るわけじゃない。

色んな不安と戦いながら、その幸せを掴んでる。

時にはその幸せを離したくなるくらいの状況があるのかもしれない。

ケタケタ笑うユカの横でふとそんなことを思った。

だって、そういうユカも、朝涙で目を腫らしてる事が何度もあったもの。

でも、ここまで来たからにはきっと幸せになれると信じている。

信じることしかできないけれど。

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