結婚適齢期症候群
7章 不安と期待の間
翌朝、普段通り朝食を食べて歯を磨いた。
昨晩のことは夢じゃないだろうか?
あんな甘い甘い、思い出すだけで「きゃっ」って顔を覆いたくなるようなシーン。
嘘みたいだ。
愛しい彼にあんな風にキスされて、抱きしめられて・・・「キスしたい」だなんて!
体中がきゅんきゅん言ってる。
「お姉ちゃん、にやけてる。」
洗面所に入ってきたユカが鏡に映る私に向かって言った。
一気に現実に戻される。
「にやけてなんかないわよ。」
「うそ。さっき一人で笑ってた。」
ユカは歯ブラシに歯磨き粉をつけた。
「何?いいことあった?」
歯ブラシを加えながら、私の肩に自分の肩をぶつけてくる。
「別にぃ。」
私はユカから視線を上向きに外してしらばっくれた。
迂闊にこいつには言えない。
すぐに母親に筒抜けだもの。
それに、ショウヘイがバツ一なんて知ったら何ていうか。
まだはっきりしないことは絶対耳に入れたくなかった。
キスはしたけど、付き合ってる訳じゃないんだよね。
キスしたいとは言われたけど、好き、とは言われてない。
三十路も過ぎると、妙に疑心暗鬼。
素直に言葉を受け取れなくなる。
全て疑ってしまう。
本当に大丈夫?って。
「ユカは新婚旅行決まったんだっけ?」
色々勘ぐられると困るから話題を変えた。
「えー、まだ迷ってる。彼はハワイがいいって言うんだけどさ、私はせっかくだしヨーロッパがいいのよねぇ。お姉ちゃんこないだオーストリア行ってきたんでしょ?どうだった?」
「オーストリア、よかったわよ。」
「私、サウンド・オブ・ミュージックっていう映画すごく好きなのよねぇ。確か舞台はオーストリアだったから、ちょっとでもいいから行ってみたいのよ。ドイツとドッキングさせたツアーでもいいかなって。」
「いいんじゃない?」
「えらく素っ気ないのね。」
「そんなことないわよ。私に相談するより彼に相談しなさいよ。」
私はうがいを終えると、「お先に。」と言って洗面所を後にした。
背後から「お姉ちゃん、絶対何かあったでしょー!」と叫ぶユカの声がしていた。
昨晩のことは夢じゃないだろうか?
あんな甘い甘い、思い出すだけで「きゃっ」って顔を覆いたくなるようなシーン。
嘘みたいだ。
愛しい彼にあんな風にキスされて、抱きしめられて・・・「キスしたい」だなんて!
体中がきゅんきゅん言ってる。
「お姉ちゃん、にやけてる。」
洗面所に入ってきたユカが鏡に映る私に向かって言った。
一気に現実に戻される。
「にやけてなんかないわよ。」
「うそ。さっき一人で笑ってた。」
ユカは歯ブラシに歯磨き粉をつけた。
「何?いいことあった?」
歯ブラシを加えながら、私の肩に自分の肩をぶつけてくる。
「別にぃ。」
私はユカから視線を上向きに外してしらばっくれた。
迂闊にこいつには言えない。
すぐに母親に筒抜けだもの。
それに、ショウヘイがバツ一なんて知ったら何ていうか。
まだはっきりしないことは絶対耳に入れたくなかった。
キスはしたけど、付き合ってる訳じゃないんだよね。
キスしたいとは言われたけど、好き、とは言われてない。
三十路も過ぎると、妙に疑心暗鬼。
素直に言葉を受け取れなくなる。
全て疑ってしまう。
本当に大丈夫?って。
「ユカは新婚旅行決まったんだっけ?」
色々勘ぐられると困るから話題を変えた。
「えー、まだ迷ってる。彼はハワイがいいって言うんだけどさ、私はせっかくだしヨーロッパがいいのよねぇ。お姉ちゃんこないだオーストリア行ってきたんでしょ?どうだった?」
「オーストリア、よかったわよ。」
「私、サウンド・オブ・ミュージックっていう映画すごく好きなのよねぇ。確か舞台はオーストリアだったから、ちょっとでもいいから行ってみたいのよ。ドイツとドッキングさせたツアーでもいいかなって。」
「いいんじゃない?」
「えらく素っ気ないのね。」
「そんなことないわよ。私に相談するより彼に相談しなさいよ。」
私はうがいを終えると、「お先に。」と言って洗面所を後にした。
背後から「お姉ちゃん、絶対何かあったでしょー!」と叫ぶユカの声がしていた。