届け!私の想い。
しょんぼりした顔で先生のところに戻る。

「教科書ないの?」

「う、うん」

やばい、恥ずかしい。

ほんとにマスク付けてて良かった。

こんな真っ赤な顔見られなくてすんだ。

良かった。

「これじゃない?」

先生が教科書を私に差し出す。

名前が見えるようにちゃんとこっちに

向けてくれてる。

優しいな、こんな時でも。

こっちは、ドキドキしてるだけなのに。

「あ、ホントだ。ありがとうごさいます。」

「いえいえ。早く、行こうか。」

行きたくないです。ここにいたい。

「は、はい。」

私が教室から出ると先生は、鍵を閉めた。

「すいませんでした。」

「いいよ。じゃあ、美術頑張ってね!」

「はい!!」

うわー、やめてくれー。

そんな笑顔で言わないで!

「ありがとう、先生。」
< 21 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop