届け!私の想い。
〜高校の入学式〜



家から電車で20分くらいかかるこの高校は、

100年以上の歴史がある。

そのおかげで校舎がなかなかボロい。

別にそこに惹かれたわけじゃない。

ここに入って来た理由なんて一つもない。

今、ここにどうしているんだろう。

校長先生の話を聞きながら思う。


「あの人、担任になるのかな?」

そうやって声をかけて来たのは、小学校から

一緒の田辺 結衣(たなべ ゆい)。

「イヤだよね?あの人。なんか、目死んでる

し。」

「目死んでるって、言い方。」

入学式なのに、なりふり構わず笑う。

私は、この子が好きだ。

特別、仲が良かったわけじゃない。

でも、中学校3年生の時、同じクラスになって

とても仲良くなった子。

自分の中では、一緒にいて、安心する子だ。

なんというか、昔の自分に似ている。



「8組の担任は、大城先生。」

終わった。あの、ものすごく病んでる人だ。

名前が読み上げられた時、私たちは、お互い

顔を見合わせて笑った。





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