きみがおしえてくれたこと
2年目にしては綺麗な制カバンに、
20点中4点の世界史の小テストを放り込み、
バス停に人が少ないことを祈っている時、
「紀田、ご機嫌だねぇ。」
後ろから飛んできた澄んだ声。
振り向かなくてもわかる。
「和奏さん」
俺の前の席に静かに座った白衣の彼女は
瀬田和奏。 俺のクラスの化学の先生。
倫也はあの性悪の巫女がいいみたいだけど、
俺は断然 和奏さん。
めちゃくちゃ美人で、博識で、字が綺麗で、
もう 完璧パーフェクト。
「どうしたの?和奏さん」
さっきまでイラついてたのに、
和奏さんを前にしたら自然と笑みがこぼれる。