君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「君の部屋は5階に準備してある」
階段を上りながら、カドラスは振り返らずに告げた。
「レイ様は前教王とそちらに住まわれていた。それは変えないつもりでね」

使用人達は1階に住むと聞いたことがあった。はずれの方に住み込み用の部屋がまとめて配置されているはずだ。
何か嫌な予感がした。

「あの、どうして私の部屋が5階なのでしょうか?」
「今、説明しただろう? 主が5階にいるのだ。お世話をするのに離れていてはできないだろう。同じ部屋にいなければ意味がない」
「犬と同じ部屋ですか!?」
「犬ではない! レイ様だ!」

荷物を持ったまま卒倒しそうだった。

「同じと言っても、部屋が多数あるから同室というわけではない。せいぜい隣同士だ。プライベートは確保される」

一応の配慮はしてくれているということだろうか。
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