君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
逃げ出す機会をうかがっているうちに、フィーはついに壁にぶつかり、後退できなくなった。

「これ以上近づいたら、人を呼びます! 外には兵士が控えているのですよ!!」

最大限のはったりだった。

ただの泥棒だったら、まずは逃亡を考えるはずだ。露出狂がどう行動するのかは知らないが、こんなにじっくりと追い詰めようとするものなのだろうか。

目的は一つしかないと思った。

裸でいること自体がまさに準備万端で、それ以外に理由は思いつかない。

手と足がガクガク震えているのを押し殺し、フィーはドアに向かって駆け出した。
それを見た男も走り出し、フィーの手首を強くつかみ、背中を壁に押し付けた。
フィーは両手首を押さえつけられ、わずか30センチの距離に捕らえれた。
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