君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
『教王庁に部屋を持つ』というのは、言うほどやさしいことではなかった。
教王の身を守るという点からも、まさにどこの馬の骨ともわからない者を住まわせるわけにはいかなかった。
職務上の地位はもちろんのこと、それ以上に出自を詳しく調べられた。
部屋を得るということは、貴族にとって家柄にお墨付きを与えられたようなものだった。
だからこそ貴族の子息や令嬢はそれを目指したし、自分の屋敷の何分の一にも満たない小さな部屋での生活を受け入れていた。
フィーのようなケースは異例中の異例で、アルベールの腑に落ちない表情も当然だった。
「明日もここに会いに来るよ」
アルベールが穏やかに微笑む。
「はい」
と一言だけ答える。他にも何か気の利いたことか言えたらよかったのに、気持ちがいっぱいで言葉が出てこない。
精一杯の笑顔を添えて、アルベールを見送った。
教王の身を守るという点からも、まさにどこの馬の骨ともわからない者を住まわせるわけにはいかなかった。
職務上の地位はもちろんのこと、それ以上に出自を詳しく調べられた。
部屋を得るということは、貴族にとって家柄にお墨付きを与えられたようなものだった。
だからこそ貴族の子息や令嬢はそれを目指したし、自分の屋敷の何分の一にも満たない小さな部屋での生活を受け入れていた。
フィーのようなケースは異例中の異例で、アルベールの腑に落ちない表情も当然だった。
「明日もここに会いに来るよ」
アルベールが穏やかに微笑む。
「はい」
と一言だけ答える。他にも何か気の利いたことか言えたらよかったのに、気持ちがいっぱいで言葉が出てこない。
精一杯の笑顔を添えて、アルベールを見送った。