君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
食堂に入った瞬間にわかった。
他の人もいたのに彼だけ周りの風景から浮き出ているように見えたから。
彼もすぐにフィーに気づいた。すぐに捕獲できるように、アンテナを張り巡らせているようだった。
「どう? 慣れてきた? カドラス様は優しい?」
「はい。色々教えてくださいます」
「ちょっと、疑問だったんだけど。フィーの直々の上官はカドラス様なの?」
「そうみたいです。他の方々とはあまりお会いしたことなくて。何かある時はいつもカドラス様の執務室へ行くことになっています」
教王庁の組織というものに疎いフィーのことを心配しているのか、アルベールは庁内の事情を話し続けた。
「カドラス様の部屋へ行けるなんて、本当にすごいことなんだよ!」
「……そうなんですか?」
「僕なんてまだそんな資格すらないよ」
「でも、この前お話しされていたのでは?」
「僕の上官が話していただけ。名前も覚えていただいてないよ」
そう言われて、フィーはどう返答すべきか困ってしまった。
実力で得た権利ではないし、『極秘』ゆえにカドラスとしか連絡が取れないだけで、彼が思っているような立場ではないのだから。
他の人もいたのに彼だけ周りの風景から浮き出ているように見えたから。
彼もすぐにフィーに気づいた。すぐに捕獲できるように、アンテナを張り巡らせているようだった。
「どう? 慣れてきた? カドラス様は優しい?」
「はい。色々教えてくださいます」
「ちょっと、疑問だったんだけど。フィーの直々の上官はカドラス様なの?」
「そうみたいです。他の方々とはあまりお会いしたことなくて。何かある時はいつもカドラス様の執務室へ行くことになっています」
教王庁の組織というものに疎いフィーのことを心配しているのか、アルベールは庁内の事情を話し続けた。
「カドラス様の部屋へ行けるなんて、本当にすごいことなんだよ!」
「……そうなんですか?」
「僕なんてまだそんな資格すらないよ」
「でも、この前お話しされていたのでは?」
「僕の上官が話していただけ。名前も覚えていただいてないよ」
そう言われて、フィーはどう返答すべきか困ってしまった。
実力で得た権利ではないし、『極秘』ゆえにカドラスとしか連絡が取れないだけで、彼が思っているような立場ではないのだから。