君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「別に見えても構わないんだけど」
「私が困ります!」
「え!? そうなの!? 犬の時なんて毎日見てるのに」

レイの心底意外だと言わんばかりの表情にフィーはムキになった。

「この前は逆光でわかりませんでしたし、普段だって見てません」
「本当は見てるだろ」
「見てません!」
「おすわりしてる時とか、モロに見えるだろ?」
「……見てません」
「二本足で立った時なんて、そりゃもう全開だろ?」
「……見ないようにしています」

鋭い指摘に回答がしどろもどろになる。何を言っても見透かされているようで、顔が紅潮してくる。

「別にじっくり見ててもいいんだけど」
「よくありません!」

彼は本気だ。
見せてと言ったら、簡単にタオルケットを脱ぎ捨てそうだ。なんなら仁王立ちすらやりかねない。
なぜか自信満々にご披露するレイに、恥ずかしくて直視できない自分。
バカバカしいシチュエーションだが、ありえなくもないのが怖い。

「今、いやらしい想像してただろ」
「……してません」

おちょくられてるのか、完全に彼のペースだった。
フィーは、無理矢理話題を変えた。
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