君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「こんな所で何やってるんだ?」

背後から聞き覚えのある声がした。いい雰囲気に水を差すようなぶっきらぼうな言い方。

嫌な予感がした。

そこに彼がいることを確認したくなくて、振り返るのも躊躇してしまう。

「なんだ、君は? 司祭見習いか?」

アルベールが先に反応して声をかけた。
フィーも思わず後ろを見た。

「よかった……」

服を着ている!

最大の関門を突破した気がした。

レイはなぜか聖職者のローブを着ていた。しかし、丈が短く、ふくらはぎが少し見えている。明らかにサイズがあっていなかった。

レイは人間の外見で量ると、18〜20歳くらいに見える。見たこともない、借り物のローブを着ている若者をアルベールがそう思うのも当然だった。
< 35 / 122 >

この作品をシェア

pagetop