君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
フィーの狼狽ぶりとは対象的に、レイは平然とした顔をしていた。挑発や悪意などの意図は感じられない。ウソをついていない者の堂々とした態度だった。それがより信憑性を高めていた。

「君! 女性に対して下品なことを言うのはやめたまえ!」
アルベールの声には怒気がこもっていた。

「誰だ、おまえ。見たことないな。下っ端の騎士様か」
「……なんだと」
一瞬にして緊張が走る。

「おっ、お二人ともおやめください!」
にじり寄って来る二人の間に立ち、フィーが必死に静止しようとした。

その時――。
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